大動脈瘤治療の最前線 大動脈瘤治療の最前線  

 

心臓手術 件数で死亡率に差

年25件未満、100件以上の2倍

 心臓手術を年25件未満しか行っていない病院の死亡率は年100件以上の病院と比べて約2倍高い――。

 日本胸部外科学会は昨年10月、このような調査結果を発表した。
手術件数と治療成績が相関することが全国約470施設を対象にした大規模調査で初めて証明された。

 ヨーロッパなどでは、手術件数が多い方が成績が良いことを前提に、心臓手術を行う病院数に制限を設けている。
このため、一病院当たり年間1000件を超える手術数も珍しくない。
一方、日本では、年間100件未満の施設が68%を占める。

 学会では、今回の調査結果を基に「今後、日本でも手術を行う医療施設の集約化を検討する材料にしたい」と話している。

 読売新聞社は、2005年の実績として年100件以上の手術を社会保険事務局に届け出た医療機関と、先天性心臓病などの治療経験が豊富な日本小児総合医療施設協議会加盟の医療機関の計193施設に対してアンケートを実施。
152施設(回収率79%)から回答を得て、一覧表には手術項目ごとの件数を掲載した。

 本社のアンケートに対して未回答の医療機関は、社会保険事務局に届け出た手術件数を掲げた。
ただし、届け出の基準には大動脈瘤(りゅう)手術は含まれていない。

 手術で治す心臓病には主に4種類ある。

 最も件数が多いのが冠動脈バイパス手術。
心臓の筋肉(心筋)に酸素と栄養を送る冠動脈が動脈硬化を起こして狭くなり、胸痛や息苦しさなどの症状が現れる狭心症や心筋梗塞(こうそく)が治療対象だ。
病変部の迂回(うかい)路として、胸や足などの血管を移植する。

 次が弁膜症手術。
血液の逆流を防ぐ心臓弁の開閉が正常にできない弁膜症では弁の形を整える弁形成術や、金属製などの人工弁に付け替える弁置換術が行われる。

 心臓から全身に血液を送る大動脈に「こぶ」ができる大動脈瘤は、こぶが破れてショック死することもある。
こぶが心臓に近い場所でできる胸部大動脈瘤では病変部を人工血管に置き換える手術が行われる。

 生まれつき心臓の形に異常がある先天性心臓病では形を整える手術が行われる。

 順天堂大心臓血管外科教授の天野篤(あつし)さんは「心臓手術を行う中心的な医療施設と言えるには年150件ほどの手術をこなし、治療成績が安定している必要がある」と話す。

 ただし、同じ分野の心臓手術でも複数の手法がある。

 バイパス手術は、人工心肺というポンプを使い、心臓を止めて行われてきたが、血栓(血液の塊)ができやすく、脳に飛んで脳梗塞を起こすことがある。
この危険を避けるため、心臓が動いたまま手術するオフポンプ手術が最近、増えている。

 弁膜症手術では、金属製の人工弁を入れる弁置換術を受けると、血液を固まりにくくする薬を一生飲まなくてはならない。
弁形成術なら、その必要がない。
しかし、高度な技術が必要だ。

 病院全体でなく、執刀医個人の実績も気になる点だ。
手術法や医師の経験数も医師に尋ねて、納得できる病院や医師を選びたい。(坂上博)

 

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